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『たばこはハタチになってから』

『たばこはハタチになってから』

近年たばこをめぐる喫煙環境は日に日に厳しさを増しています。

特に来年オリンピック・パラリンピックを迎える東京都は国が定めた改正健康増進法に加え、

従業員を雇っている飲食店においては原則全面禁煙化など、煙のないオリンピックを目指し、

より厳しい施策を打ち出しています。喫煙人口が減少し、

喫煙具マーケットが縮小していくことに大いに懸念しているところではありますが、

時代の流れには逆らえないというのも、また現実です。

 

来年で創業100年を迎える喫煙具メーカーとして、

日本のこれからの喫煙環境を少し考えてみました。

 

日本の成人男性の喫煙率は、

昭和41年のピーク時の83.7%から大幅に減り、

昨年平成30年度は27.8%でした。

成人男性の喫煙者は約1400万人ということになります。

一方成人女性の喫煙率は、

同じく昭和41年のピーク時の18%から減少し、

昨年は8.7%でしたが、男性に比べると減少率は緩やかでここ数年はほぼ横ばいといった状況です。

 

確かに昔の刑事ドラマでは、部屋の中で当たり前のように刑事がたばこをプカプカ吸っている場面を

よく見かけましたし、実際街の中でも路上喫煙は当たり前、電車のホームからポイ捨てされた吸い殻が

山のように線路に散らばっていました。決してそのころに戻ったほうが良いとは思いませんが、

今の喫煙環境は果たして、喫煙者、非喫煙者にとって正しいものなのか?

 

たばこが世界に広まったのは、コロンブスの新大陸発見後といわれています。

それまでは、アメリカ大陸の先住民の間で嗜好品として独自に発展していました。

ただ、いつごろから人々がタバコを喫煙していたかははっきりとはわかっていません。文献として残っているのは紀元7~8世紀に栄えたマヤ文明の遺跡にある

レリーフ(浮き彫り)に見ることが出来ます。このレリーフでは擬人化された神が

パイプ状のものを口に加え、先端から煙が出ている様子が描かれています。

 

コロンブスによってヨーロッパに持ち帰られたたばこは、初めは薬事的な効能を謳われ、

その後嗜好品として広まっていきました。

初めて日本にたばこが伝わったのは、16世紀中頃といわれています。

1549年にフランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸した際、

従者がたばこを吸い、口から煙を吐き出すのを見た人々が

「南蛮人は腹の中で火を焚いている」と驚いた逸話が残っています。

それから約500年間に喫煙は様々なスタイル、

道具を用いながら大人の嗜好品として世の中に広まっていきました。

ここ何年か、主に日本において急速に増えてきている

「IQOS」や「Ploom Tech」「glo」などの加熱式たばこも、そんな喫煙スタイルの多様化の一端と

いえるかもしれません。

 

「吸わない人」に迷惑にならないように法整備がされることは、

これからも喫煙という文化が残っていくためには大切なことだと考えています。

同時に「吸う人」が自己責任の上で気持ちよく喫煙できる環境を整備することも大事ではないかと

思っています。他人を思いやることが出来る「大人」の嗜好品として。

アイディアが煮詰まったとき、一仕事終わったとき、大人の喫煙者が「一服」できるより良い環境が

整うことを願っています。